株式会社小川環境研究所

TSanalyzer(TSA5型)

TSanalyzerは、1999年に初号機(TSA1)リリース以降順次機能アップがなされ、現在はTSA5が最新機種です。以下はTSA5の説明です。
TSanalyzerは曝気槽の活性汚泥混合液をサンプリングし、4hr程度の測定サイクルで連続的に、汚泥の活性や原水・処理水のBOD(JIS法BOD値に近似)、MLSS、汚泥の沈降性など、活性汚泥の運転管理に必要なデータをを測定・解析しトレンド表示する、他に類のない活性汚泥処理運転管理計器です。

装置は、PCと制御機器の制御部と、汚泥の性状を測定する測定部と、サンプリング装置部から構成されています。LANで接続すれば、同じ測定データを各所で監視できます。またネットに接続すれば、どこからでも同じ測定データを各所で監視できます。

活性汚泥の運転管理の現状

活性汚泥処理法は好気性微生物を利用した最も汎用的な廃水処理法です。処理の主体が多様な微生物であるがゆえに、様々な廃水に対応できる利点がある反面、原因-処置-結果の因果関係の把握は極めて難しいプロセスです。廃水は微生物の働きで確かに浄化されるが、曝気槽の中で今どんな状況で処理が行われているのか定量的にはほとんど判っていないで運転されているのが実状です。活性汚泥処理をブラックボックス状態にしている最大の要因は
①曝気槽中の活性汚泥のBOD分解能力(活性)を定量的に把握する手段がない
②活性汚泥運転に必要な原水のBODおよび分解性を迅速に測定する適切な手段がない
ことです。もし活性汚泥の状態や処理の程度が迅速に把握できれば、状況にあった適切な運転が可能となり、活性汚泥処理装置を最大限生かすことができ、処理の安定や、省エネ、省力化が可能になります。TSシリーズ(TSanalyzer、TSchecker)はまさにこのニーズに応える新しい手段です。

TSanalyzerシステムの概念

好気性微生物の活動状態は呼吸(酸素の消費速度)を測定することにより推定できます。 

TSanalyzer(TSA5)は、制御装置と測定装置から構成され、図1-1-1-1のように測定装置で曝気槽出口付近の活性汚泥混合液をサンプリングし、活性汚泥混合液を曝気しながら溶存酸素濃度(DO)の変化を測定し、データを制御装置で解析することにより、活性汚泥の運転管理に必要なデータを出力します。

 測定データは監視制御用PCとLANで接続すれば、別のPCで閲覧/制御可能。またWiFiでインターネット接続すれば、遠隔監視PCでどこからでも閲覧可能。

 

図1-1-1-1:TSanalyzer(TSA5)の全体構成図TSAall211.png

 

On-line測定項目

自動で測定する項目は、汚泥の活性やBODTS・分解性や汚泥の沈降性など、従来測定できなかった項目を定量的にトレンドとして把握できます。特に図中の赤字に示す測定項目は弊社の特許による測定です。これらをトレンドとして運転管理することで、従来とは明確に差のある運転管理が可能になります。
 注:TSanalyzerで直接測定するBODは、易分解性BOD(BODts)で、JIS法のBOD5とは異なります。BODtsと内生呼吸時の酸素消費速度などからJIS法のBOD5と関連付けします。

On-line測定項目

測定操作の標準パターン(1サイクル分)

右図はコンピュータの測定画面を図式化し説明を加えたものです。

下図はコンピュータの測定画面を図式化し説明を加えたものです。

結果のトレンドグラフ表示

測定結果は、トレンドグラフに表示され、「記録メニュー」で取り出せます。
右図は「記録」画面例(グラフは3枚)です。

1枚目のグラフには、汚泥の活性度、原水阻害性、原水分解性、硝化活性、原水BOD、曝気槽DO、処理水BOD、処理水BOD予測、汚泥の沈降状態(SV30)、上澄み液濁度、MLSS、SVI

2枚目のグラフには、原水処理量、原水BOD負荷量、処理水BOD負荷量、脱窒SV(SV120)、汚泥浮上危険性

3枚目のグラフには、必要酸素量、曝気槽温度、試用版とし処理水COD

結果のトレンドグラフ表示

解析機能

トレンドグラフで処理水BOD予測が表示されるが、原水の分解速度測定データから、処理計算(右図)で処理水のシミュレーションができます。

解析機能

TSanalyzerの構成ユニット

装置は、管理室内に設置する制御部と、曝気槽出口付近に設置する測定部から構成され、両者はケーブルで接続されます。制御部は、パソコンと端子盤で構成され、測定部(下図)は、測定装置一式(測定装置は多数の実績があるTScheckerがベース)が収納された屋外設置仕様のボックスです。

TSanalyzerの構成ユニット

効果

  1. 汚泥の活性(原水BOD成分の分解力)が定量管理でき、常に活性汚泥を最適状態に維持することが可能になる。
  2. 原水のBODと分解性を定量評価できる。
  3. 現在の処理水BODを測定評価でき、Onlineの処理水TOCのような使い方ができる。
  4. 今現在の原水が継続流入した場合の処理水BODを予測できる。
  5. 異常原水の流入を原水流入段階で検知でき、早期の対処が可能。
  6. 汚泥の沈降性を管理。沈降性トラブルを予知したり、改善効果の定量評価が可能になる。
注:活性汚泥は化学プロセスです。反応速度を管理することで、活性汚泥の運転管理を技能の世界から技術の世界にレベルアップできます。